ヤマメとアマゴは、どちらもサケ目サケ科に分類される魚で、サケ科魚類の中には、河川から海に出る個体が存在します。それでは、ヤマメやアマゴが海に出るとどうなるのでしょうか。また、ヤマメの中には、海に向かって出発したにもかかわらず、河川の途中で引き返してしまう「戻りヤマメ」と呼ばれる個体が存在します。戻りヤマメとサクラマスの違いはあるのでしょうか。
ヤマメやアマゴが海に出るとどうなる?
ヤマメとアマゴには、一生を河川で暮らす「河川残留型(陸封型)」の個体と、河川で生まれてから海に降り、海で成長した後に、産卵のために再び生まれ育った河川に戻ってくる「降海型」の個体が存在します。ヤマメの降海型の個体を「サクラマス」と言い、アマゴの降海型の個体を「サツキマス」と言います。
河川残留型のヤマメとアマゴは、大きくても体長30cm程度です。ところが、ヤマメが海に出ると、体長50~70㎝程度のサクラマスになり、アマゴが海に出ると、体長40~50㎝m程度のサツキマスになります。
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サクラマスとサツキマスの体色変化
河川残留型のヤマメとアマゴには、体の側面にパーマークと呼ばれる楕円形の模様が数個あります。この模様は河川の石などに擬態したものと考えられており、海に降る降海型の個体は、パーマークが次第に薄くなっていき、体色が銀色になるスモルト化(銀毛化)が見られるようになります。
海に生息するサバやイワシなどの青物は、銀色の体色で鏡のように周囲と同化するので、降海型のサクラマスやサツキマスの体色が銀色に変化するのも、同様の理由ではないかと考えられています。
ヤマメとアマゴの違いは、アマゴの体の側面から背にかけて朱色の斑点があることが見分け方のポイントです。サツキマスになり体色が銀色に変化した後も、この朱色の斑点は残ります。本来、河川に生息するヤマメとアマゴは棲み分けできていたのですが、近年の無秩序な放流が原因でヤマメとアマゴが交配し、ヤマメとアマゴの中間の雑種が存在しているので、これらを見分けることが困難な個体もいます。
生まれ育った河川に戻ってきたサクラマスとサツキマスは、産卵期になると体色がピンク色の婚姻色に染まります。降海型の個体は、海の豊富な栄養で大きく育ち、たくさんの卵を産みます。河川残留型のヤマメが生む卵は200個程度ですが、降海型のサクラマスは4000個程度の卵を産みます。
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戻りヤマメとサクラマスの違いはあるのか?
ヤマメの中には、海に出てから生まれ育った河川に戻ってくる「サクラマス」と、海に出ようとしたけど河川の途中で戻ってくる「戻りヤマメ」と呼ばれる個体が存在します。
戻りヤマメとサクラマスは、どちらもスモルト化した銀色の体をしているので、それぞれの違いは分かりにくいですが、河川で育った戻りヤマメよりも、海で育ったサクラマスの方が体が大きい傾向があります。
ただし、サクラマスの中には小型の個体も存在するので、戻りヤマメとサクラマスの違いを見分けることは困難です。確実に両者の違いを見極めるためには、魚のエラに存在する塩類細胞(海と淡水を移動するために必要な細胞)の数を測定するしかありません。
降海型のヤマメは、春に海に出て翌年の春に河川に戻り秋に産卵します。春に海に出ると河川と海の水温が近いので移動しやすいからです。ところがヤマメの中には、秋に海に出て翌年の春に河川に戻る短期降海型の個体も存在します。その場合は、十分に成長できないので小型のサクラマスになり、体の小さい戻りヤマメと見分けがつかなくなります。
サクラマスの体に海の寄生虫であるシーライスがいることを確認できれば、海育ちのサクラマスと川育ちの戻りヤマメの違いを見分けることができますが、シーライスは海水から淡水へ移動すると、大抵は3日程度で体から離れてしまいます。
サクラマスが狙えるロッド
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